私が BEとDOの両方を共に大切にするということと同様に、働く上での「柱」になると思っている概念の「エンロールメント」について説明したいと思います。
この言葉は、あるアメリカ人コンサルタントから教えてもらって、すごく納得した概念なのですが、彼が独自で作った意味の言葉で、実際この言葉はアメリカでも日本でも一般的には使われていませんので、今のところは社内用語です。
エンロールメントとは、「登録する」とか「入会させる」が本来の意味らしいです。更に転じて巻き込むこと、巻き込み力などとも使われることがありますが、そういう一般的な意味とは少し異なる使い方をしています。
私たちが考えているエンロールメントとは、「人が価値や可能性を感じ、自分で決めて、自分から主体的、積極的に取り組む状態にすること」と定義しています。

少しわかりにくいので、もう少し違った表現で説明します。
上記エンロールメントとは、
・相手に何かをさせることではない
・相手をそうするように誘導することではない
・相手を支配することではない
・相手に力をつかってさせることではない
・相手を説得することではない
・相手を魅惑することではない
・相手に策略することではない
・相手と交渉することではない
・相手に対してのテクニックではない
つまりエンロールメントとは、
“Creating relationships that inspire people to take action toward their commitments”
「彼らがコミットメントにたいするアクションをとる気にさせる関係を築くこと」を指します。
しかし、順番も含めてこう訳しなさいといわれたのは「相手と関係を築き・その人をその気にさせる・アクションをとる・彼らのコミットメントにむかって 」です。
さらにコミットメントは既に一般化している言葉かもしれませんが、意味を知るほど非常に難しく、なるほどと思った訳は、「強い約束」とか「義務」ではなく「献身」とか「献身的であること」でした。

ここまでの話でも、更に「???」となるかもしれません。
例をあげてエンロールメントを説明するとしたら、新卒採用こそエンロールメントに近いのではないかと私は思います。
私たちは、採用試験を受けに来る学生に対して、権力はないし支配もできない。本来はフラットで対等な関係なわけです。学生である彼・彼女たちが、この会社に可能性を感じて入社を決め、そして献身してもらうようになる。そういう関係を築くことが新卒採用だと思っています。
こういう関係性が、大きな意味でのエンロールメントなのです。私は、本来お客様とも同じ関係性のことが言えるものだと考えています。お客様自身が、私たちの提供する商品に可能性を感じて我々を選んでくださるのです。
この概念は私達の創業者から言われた次の言葉も、根本になっていると思います。
「すなおも健市も辞めようと思えば転職することができる。すなおも健市も俺のものじゃないんだから俺の言うことなんて聞かなくたっていい。社長なんていったってそんなものだよ。それは俺と息子だっていっしょ。本人たちがやりたいと思うこと以外はやらないんだから」
「すなおは管理されたいか?管理されたくないだろ。いい人と仕事しようと思うなら、お前自身が信頼されて任されたいと思うなら、管理しようとするな」
こういう概念がエンロールメントの一端です。見える人には見える。見えない人には見せることはできない概念なので、難しく感じられるかもしれません。別のコラムで、もう少し別の観点から解説したいと思います。
(文責:三原)