さて、前回に引き続きネクタイの選び方についてのお話です。

長さについて

ネクタイの正しい長さについても、あまり重視されていないようです。みなさんそれぞれ 好みの長さがあるか、朝一に締めた時の長さ任せではないでしょうか?
ネクタイの長さは主にスタイルの良し悪しを決めるポイントなので、知らず知らず損をしているかもしれません。

長さについては、“ベルトが隠れる程度”と覚えてください。
これよりも短いと子供っぽく見えたり、お腹が出ているように見えます。言葉を選ぶのが難しいですが、滑稽に見えてしまうというのが正しいかもしれません。
他方、ベルトよりも長いと重心が下がって見えて、胴が長く足が短く見えてしまい、損をしてしまいます。
首が細い、身長が低いことでどうしても長くなってしまう方は、タイバーを使って長さを調整することをおすすめします。
私はただでさえ胴長短足なので、ベストの長さに決まるまで、家を出ることはありません。

長さを合わせるためには、鏡に正体した状態でネクタイを締めてください。鏡を見ないで下を見ながら締めると、顔を正面にした時に理想より短くなってしまいます(ファッションギークの間では、股上が深めでタックの入ったスーツ(スラックス)を良しとする時代でもあり、ベルトよりも長いスタイリングをしているおしゃれな方がいますが、股上の深さの違いによるもので相対的なネクタイの長さは同じくらいです)。

 

色柄、素材について

いくら締め方が良くても、選ぶ色柄や素材が間違っていると台無しになってしまいます。例えば、寒風吹きすさぶ季節に、これしかないからと涼しげな色柄を選んでしまったり、歩くと汗ばむ季節なのに、毛足の長いウール素材を選んでしまったり。

ネクタイの形、素材、柄、色は数え切れないほど世に溢れていて、そんなのよく分かんないよ!と思われることでしょう。
しかし、唯一の正解がない、美的感覚が問われるファッションにも、基本があります。
アレンジは基本があってこそ成り立つことなので、ここでは基本的な考え方をお伝えします。そうすることでネクタイ選びが楽になります。

◆素材について

通年を通して使える素材にシルクがあります。シチュエーションを選ばない万能選手ですが、逆に無難で個性は控えめです。しかし、春や夏にシルクのざっくりしたニットタイを選ぶと、軽やかでグッと季節感が出てきます(シルク通年 シルクニット4月〜9月中旬)。

初夏から盛夏にかけてはクールビズ…いえ、コットン素材のネクタイをオススメします。汗をよく吸ってくれるコットンは軽く、夏場に最適で涼しげな印象を与えます。
中でもコットンシアサッカーという素材は独特の畝(うね)による表情がさわやかです。暑いのに涼しげなネクタイで商談に現れることで相手の目はあなたのVゾーンに目がいくことでしょう(コットン6月〜9月中旬)。

秋口から冬にかけてはシルクとウールの混紡素材、真冬はウール素材でよりフワッと暖かみのある雰囲気を出すのが良いと思います。ウールのニットタイもオススメですが、春夏のシルクニットタイよりも網目の詰まったセーターのような素材が良いと思います(シルクウール10月〜2月 ウール12月〜2月末)。

◆色選びについて

さぁ、素材まできてお次は色です。
色は、ネイビーとブラウンの無地二色を基本とすれば間違うことはまずありません。この二色を季節に分けて濃淡をつけます。
春夏には明るめ、秋冬は深め。これで四色展開になるので、一旦これで大丈夫です。
(シルク・コットン・ウール)×(ネイビー・ブラウン)→ニットも含めると10種類程度になります。
これを基本のスタメンにしてください。

こう伝えると、代わり映えしないんじゃないですか?あいつ いつも同じやんって思われないですか?という質問をされることがあるのですが、それは間違いです。
ネクタイに限らず洋服の良し悪しは、素材の質の良さと季節感によって決まります。デザインや色柄が素材の先に来ることはありません。
ネクタイに限って言えば、いろんな色柄で100本以上持ってるけど、全部シルク素材ですという方よりも、10本くらいしか持ってないし、ネイビーとブラウン系が中心だから色バリエーションはないけど、季節によって素材を選び分けてます、という方が遥かにオシャレです(後述します)。

◆柄
そして最後に柄ですが、柄は自分のことや、会う人に対する敬意を表すヒントと捉えるのが良いかもしれません。
ビジネスシーンできちんとしたいということであれば、レジメンタルを選べば間違いありませんし、打ち解けた間柄との面談であれば、相手の好きな柄を選ぶことも良いと思います。
私は春先には小花柄のものや、鬱陶しい梅雨の時期には水玉柄を選んだり、季節を中心に考えています。

 

ネクタイ売り場に足を運んだら、まずは素材、その次に色、最後に柄の順に選んでいけば、どうしてこんなの買ってしまったんだろうという失敗も減るでしょうし、選ぶことがどんどん楽しくなってくるはずです。

正しく選び、正しく締めて周りと差をつけて頂きたいと願います。

 

(文責:堀 by UNIX TOKYO

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