前回まで、コミュニケーションタイプのそれぞれの利き手についてご紹介してきました。

・情報の取り方が、事実・データの感覚(S)機能かイメージや広がりの直観(N)機能か。

・判断基準が、対象から距離をおいて合理性や論理を大事にする思考(T)機能か対象の中に自分をおいて感情や個別の事由を大事にする感情(F)機能か。

でも、同じタイプのはずなのにどうも話が噛み合わなかったり、論点や視点がズレているなぁと感じたりすることもありますよね。

実はこの情報の取り方と判断基準の組み合わせの違いで、コミュニケーションのスタイルや、キャリア選択、組織や文化を理解する際にどのようなアプローチを好むかが分かります。

感覚機能と思考機能の組み合わせのSTのタイプが興味を向けるのは、仕組みやシステムを考えることです。今、どういう状況なのかという事実に基づき、どうすれば結果を出すことができるかをチームに求めます。
効率化が図れるような方針や手順を見つけることで組織に貢献したいと考えています。このタイプの方が多く見られるキャリア領域としては、政府機関や製造、建築業などと言われています。

同じ感覚機能でも、感情機能との組み合わせのSFのタイプが関心を持つことは、周りの人をサポートすることです。誰が影響を受けて、誰がどのように実現していくかが気になる傾向にあり、お互いが応援し援助し合えることをチームに求めます。同じチームの仲間や、顧客にサービスを提供し、人々のニーズに応えることで貢献したいと考えます。このタイプが多く見られるキャリア領域は、ホスピタリティ、医療、教育関係などです。

直観機能と感情機能の組み合わせのNFタイプは、自分や他者の成長を支援することに関心があります。チームのメンバー同士で励まし合い、他の人の力を最大限引き出すことで貢献したいと考えています。どのように関わり、誰に影響があるのかを考え、みんなが目指したいと思えるビジョンを熱く描きます。このタイプが多いキャリア領域は、カウンセリングや成長支援、芸術などです。

同じ直観機能でも、思考機能と組み合ったNTタイプは、専門性を極めることに興味を持つ傾向にあります。最新の、最適な理論や戦略は何かを考えたり、システムを構築したりすることをチームに求めます。これからどうなるかという可能性を、理論的な枠組みを提示することで貢献します。このタイプが多いキャリア領域は、最新技術に触れられる研究職や、大学などです。

例えば、レストランでサービスするシーンでもSFとNFのアプローチは異なります。お客様にお水をください、と言われたとします。
SFのタイプはお客様の様子をくまなく観察し、その事実に基づき、お客様の気持ちに寄り添って最適なサービスを提供したいと考えます。何の用途なのか確認・観察したりしてお客様に最適なお水を持っていくでしょう。

一方NFのタイプは、そこに洞察や可能性を考える傾向があります。お水を、と言われたタイミングで、暑いのかもしれないと思えば氷が入ったお水を持っていったり、薬を飲むのかな?と思えば、氷が入っていないお水を持っていったりするかもしれません。

お客様の求めているものと奇跡的に合えば「なんで言わなかったのに分かったのですか!」というマジックが起こりますが、ズレていた場合は残念なことになりかねません(でも、個人的には日本の旅館などでみられる”おもてなし”は「かゆいところまで手が届く…!」というNFが活躍しそうな気もしています)。

STとNTでも違いがみられます。
煩雑になっている紙の資料を整理整頓するシーンがあったとします。
STのタイプは、内容や利用頻度、時系列を考慮して、誰が見ても使いやすく分かるように資料をファイリングするでしょう。一方NTのタイプは、様々な可能性を考えつつ合理性を高めたいので、「そもそも紙じゃなくて、データで管理しませんか?」と独自の手法を提案したりします。
STのタイプからすると「今は紙の資料を整理するっていう目的だからデータ化って言われても…」と思ってしまうかもしれません。でも、NTのタイプの意見も一理あるので今後の課題にしておく必要がありますよね。

 

このように、同じコミュニケーションタイプだったとしても組み合わせで視点や大切だと考えていることが異なります。組織で仕事をする場合はこの違いがあるからこそ、様々なお客様にとってうれしい商品やサービスが提供できます。
自分のタイプを理解し、相手が大切だと思っているものとの違いを認識することが大切です。

次回はこの組み合わせから成る、ストレスの原因についてお届けしようと思います。

 

(文責:平山)

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