2021. 04. 30 articles

チームの力を効果的に引き出すアプローチ

組織で仕事をするうえで大切にしたいことの一つに、仲間との関係があります。お互いの力を引き出し、一丸となって高みを目指す方法をご紹介します。

“最高の二番手になる”

会社という大きな規模から事業部、プロジェクトチームまで、組織に身を置くうえで仲間との連携は欠かせません。
これに対し、連携を深め、力を最大化するのはトップやリーダーの仕事と認識されていますが、Plan・Do・Seeはトップやリーダーに勝るとも劣らぬ存在として、二番手の働きに注目していると言います。どういうことでしょう。

 

例えば、あるムーブメントが起きたとします。その中心には、プロジェクトの成功に向け、先導してアクションを起こしたリーダーがいます。
しかし、一人の熱狂ではムーブメントにはなりません。リーダーの想いを理解し、自ら体現することで多くの人が共感する流れをつくる存在が欠かせません。
そうです、熱狂的にフォローした二番手です。これと同じく、チームの力を最大化するには、リーダーの考えを理解するだけでなく、周りをエンロールするくらい自身もエンロールされている二番手の活躍が重要であるとPlan・Do・Seeは考えるのです。

より具体的な例としてPlan・Do・Seeで語られているのは、ある大学の野球部のエピソードです。

キャプテンは「秋の大会で日本一を目指す。そのために春は徹底的に基礎を鍛え直す」という練習方針を打ち出しました。
チームメイトはこれに従ってトレーニングに励みましたが、次第に不満が募っていきました。基礎トレーニングは成果が感じづらいため、即効性があり、効果が実感しやすいトレーニングを望む人が出てきたのです。
彼らはAさんに苦情を寄せました。といってもA さんは、副キャプテンではありません。人あたりが良く、みんなからの信頼が厚かったのです。

Aさんは次の対応を取りました。

「不満もわかるけれど、優勝を目指すには目先の結果ではなく、基礎を徹底的に鍛えるのが最も良い選択だと自分は思う。正解とは限らないけど、正解に出来るよう、力を抜かずに基礎練習を徹底的にやろう」と仲間の士気を高めたのです。

 

ポイントは、チームの目指すものを自分なりに理解し、エンロールされ、自分の言葉で伝えている点にあります。キャプテンの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分の意思として伝えているのです。

Aさんとは逆に、マイナスな対応としては次のようなものが挙げられます。

形だけ同意し、行動を起こさない。
自分なら、こうすると陰でキャプテンを批判する。
不満をキャプテンに直訴しようとチームを扇動する。
我関せずと聞き流す。

ここで誤解してはいけないのが、練習方針の是非は関係ないということ。
正しいか、間違っているかは置いておいて、チームで決めたことは全力で正解とする。それはイエスマンになることとは違います。方針に合意できなければ、アクションの前にキャプテンと意見を交わす必要があります。その責任が、ひとりひとりにあるのです。

そして、もう一つ。Aさんの例で示す通り、最高の二番手とはポジションではありません。
キャプテンに対し、副キャプテンが役目を負うのではなく、チームの誰もが最高の二番手になることができ、一人一人がその責任を自らに課すことでチームの力を最大化できる。誰もがリーダーにも、二番手にもなれる。それが、Plan・Do・Seeの考え方なのです。

より理解しやすくするために、例えに挙がった部活を、会社や事業部、プロジェクトチームに置き換えて考えてみましょう。
Plan・Do・Seeを例にすれば「秋の大会で優勝する」は、「ホテルビジネスで世界一の会社を目指す」「カスタマーから圧倒的に支持される会社になる」といった目標に置き換えられます。そして「基礎を徹底的に鍛える」は、「おもてなしの技量をあげる」といった行動に置き換えられます。
一般企業の場合なら「マーケットシェアで圧倒的なポジションを得る」に対し、「業績目標から逆算した、1日の行動目標を遂行する」といった例が挙げられるでしょう。

 

トップが掲げた目標を、一人一人が最高の二番手として現場の行動に浸透させる。自分の言葉で目標を噛み砕き、意思を持って実践し、仲間に伝播させてゆく。
これが、最高の二番手の活躍であり、最高のチームのあり方だとPlan・Do・Seeは考えるのです。

 

(文責:ライター佐藤康雄

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