
私たちは、女性にとっての働きがいのある会社に2年連続で選ばれました。
ITとか金融とかの一部の業種ではなく、労働集約(人間による労働力による業務の割合が大きい産業)でもある自分たちの業種が選ばれたことは、私にとって誇りでもあるし、今後多くの方にお役に立てる何かがあるのではないか?とも僭越ながら考えたりもしています。

「働きがいのある会社」ランキングでいただいたトロフィーです
「女性にとって」…。
そんなことにフォーカスをわざわざ当てる必要があるのか?という意見は承知しています。
ですが、今から約20年前 私たちの事業において、女性が非常に重要であるにも関わらず、注力しなければ女性の活躍が短期的になってしまう傾向は確かにありました。
また、キッチンや料理の世界においては明らかに女性が少ない…、これにもあえて抵抗しなければ 女性も男性も等しく活躍できる環境にはならないことも事実でした。
20年前にこれに取組むと考えて、様々な事実や解釈や事象と向き合ってきました。
今では全社男女比が1:1であり、キッチン部門においても1:1の割合で女性スタッフに活躍してもらっています。
前述したように私たちの仕事は、人が関わるところが大きい仕事であり、人が休んでいるとき つまり土日や夜に働き、時には 深夜や早朝に出社することもあります。決して働きやすい仕事ではありません。
それでもこのように表彰されているのは、従業員1人1人が 丁寧にチームを紡いできてくれたからだと本当に頭が下がる思いでいっぱいになります。

さて、そのきっかけになったターニングポイントを 私は今でも明確に覚えています。
約20年前、働く女性が結婚後も私たちのような仕事を続けるために どのような施策や制度が必要なのかを、当時担当をしてくれていた リクルートで活躍されている女性に相談したことがあります。
そのときの彼女言葉が、今でも私の原点になっています。
「すなおさん。ルールを先に作っちゃダメよ。世にでているわかりやすいニュースに飛びついてもだめ。しかも人事がルールを創っても本当に意味がない。
女性と一言でくくるなかれ。シングルマザーもいれば、両親が近くにいる人もいる。部署も違うしとにかく働くってことに求めることや環境も違う。
会社やお客様に貢献をしようとする女性をそれぞれに助けていくと、それが後輩にとってのルールになっていくの」

彼女は続けます。
「でも、わがままを会社が聞いても、彼女の貢献が少なければ 会社にとってそのルールはコストになる。こういう、投資ではなくてコストになるようなルールに より掛かる女性が増えると、会社は女性全体を面倒に思うかもしれない。一生懸命頑張っている人たちが、少し手を抜いている人をみてバカバカしくなるかもしれない。
そういう意味で、女性の敵は男性よりも女性だという面もあるのよ。
とにかくルールは後で、貢献しようとしている個人を助けていって、それが顧客と会社と個人にとってWin-Winの関係ならそれをルールにしていってください」
20年経って、私たちにもルールが多くなってしまいました。少し身動きが遅くなっていることも否めません。
だけど、女性(に限らず)個人のそれぞれの悩みを、全体のためには仕方ないと一蹴せずにしっかりと扱うこと。もちろんその上で受け入れられないこともあります。でもその時も、きちんとお互いに納得できる答えを見つけていくこと。
その姿勢の積み重ねが、従業員にとっての信頼感・働きがいにつながっていくのではないでしょうか。
(文責:三原)