仕事にも慣れ、成果も挙げている。でも、会社の成長が感じられない。なぜだろう。そうした疑問は、会社の仕組みを理解することで解消できます。

“循環の観点で会社を理解する”
自分の働きによって会社が成長している実感があれば、仕事に対する意欲も高まります。でも実際は、目の前の仕事が会社や所属する部署にどのように影響しているのかわかりづらいものです。
だからこそ、会社の仕組みを理解することが大切です。目の前の仕事と会社のありたい姿をつなげることで、自分の介在価値や仕事の意義が実感できるからです。
Plan・Do・Seeで実際に使われている図を見てみましょう。

最上位にあるのは『会社のありたい姿=Being』です。次に、ありたい姿を具現化したものとして『提供している価値=Doing』があります。空間、料理、雰囲気、サービス、アイテム、価格など、顧客が体験するものすべてが『提供価値』に当てはまります。そして、対価として顧客から支払われるものが『業績』です。

『業績』をあげるには、誰に向けたビジネスかを明文化することが大前提となります。
対象が曖昧だったり、間違っていたりすれば、『価値』を提供できませんし、それを届ける『商品』を磨き込む指針も得られません。『会社のありたい姿』を具現化した『提供価値』を、本当に届けたい顧客に、まっすぐに届ける。その総和が『業績』の向上につながるのです。

次にスタッフ一人一人のパフォーマンスは、どのように影響するのかを見てゆきましょう。
図をご覧いただくとご理解いただけるように、『業績』は『投資』するためにあります。対象は二つあり、一つが『組織開発に向けた投資』、もう一つが『事業開発に向けた投資』です。
前者は優秀な人材の採用、入社後の教育、社員の働きがいを応援するイベントや制度など、組織をより強くするための投資、後者は新たな店舗、商品、サービスなどを開発することによって、お客様への提供価値を高めていくための投資です。
2つはそれぞれ独立して存在するのではなく、相互に関係し合い、その関わりの中で『投資』が循環します。『組織開発』は『投資』の対象であると同時に、『業績』をあげるための『価値』を磨く役割を担っていますし、『店舗開発/事業開発』は集客や販売といった手法で『業績』を生むだけでなく、新しい人材や多様な人材を迎え入れる機会や場をつくることで『組織開発』を実現します。

こうした仕組みを理解すると、スタッフ一人一人の働きがダイナミックに会社の変化を招かなくても、そのあり方に大きく影響していることが分かるのではないでしょうか。
Plan・Do・Seeでも、一人一人のお客様に寄り添った最善のおもてなしが、新しいホテルの開発に直結するわけではありません。それでもスタッフのモチベーションが下がらないのは、この図で会社の仕組みを理解しているからです。
自分の仕事と、『会社のありたい姿』を一致させている。逆に言えば、『会社のありたい姿』から逆算し、自分がなにをするべきか、長期視点で仕事に臨むことが出来ている。結果、一人一人が会社の成長をリードする存在となり、その意識が自身の成長にもつながっていますし、会社と自分の成長をつなげることが出来ているのです。
自分の介在価値が感じられない。目の前の仕事の成果が、実感出来ないもどかしさを感じた時は、この図を思い出してみましょう。目には見えない、でも確実に会社をリードしている誇りが芽生え、気持ちも新たに仕事に邁進できるのではないでしょうか
(文責:ライター佐藤康雄)