
タレントマネジメントという言葉や概念があります。最近では様々なシステムが開発されて、コマーシャルなどでも見るようになりました。
タレント(=才能)をマネジメント(=経営)するということなのだと思うのですが、この概念を勘違いしたり、薄い理解で推進しちゃっている人もいるので要注意です。
かくいう私も、若い頃にたくさんのトライをして様々なツールを導入してみました。そして その導入してみた結果、様々な実感や体験が積み重なり、私なりの意見が醸成されました。
まず、何度かこのコラムでも申し上げている通り マネジメント=「経営」であり、「管理」ではありません。
管理のためにこの概念を入れようとすると、そのスタートからつまずきます。人事が管理部門であることも少なくはないので、その時点でこのタレントを管理するという概念は、もう辞めたほうが良いと思います。
タレントマネジメントとは、あくまでも才能や資質を「経営」することなのです。

次に、タレントについて。
私が過去に導入した5つほどのツールは傾向値は出るものの、残念ながらその傾向値と業績や顧客満足、仕事の継続性など、事業や仕事能力に対しての連動が僕らは見出せませんでした。
同じ傾向や分類に、仕事で結果が出せる人・出せない人が混ざっている。
社内で頑張り続けられる人・退職してしまいやすい人も混ざってる。
そんな実感です。
これらの実感値を いろいろな方々とも相談しながら見出した現時点での私の結論は、「タレントマネジメントをポイント化やシステム化、管理という側面で見てはいけない」ということ。
タレントマネジメントは、人として人に向き合って、その人の志向や実際に過去に出してきた結果、ライフワークバランス等と真剣に向き合い、その才能を人が活かす、ということなのではと考えています。

自分たちのなかで、「個人個人の才能を活かし 開花させ 最適な配置や育成を行うように真摯に向き合う」という思想があり、それを行い続けることがタレントマネジメントであり、それには実に泥臭い面談や振り返りやすり合わせなどの積み重ねが重要なのだと考えています。
弊社ではシステム化はされていませんが、それを行い続ける文化があり、それ自体がタレントマネジメントです。
人をポイント化して楽をして採用したり、配属をするものとは違うと私は考えています。
繰り返しになりますが、タレントマネジメントは新しい概念ではなく、「人」を活かすという ずっと我々 日本企業の中にあったものです。
そして そのベースになるのはやっぱり、BeingとDoingであり、その両軸で会社と個人がどう成長していくか、という思想と それに真摯に向き合う覚悟が、タレントマネジメントの一丁目一番地だと私は確信しています。
その上で、各社がどのようにシステム化していくかは、各社ごとのアプローチが重要なのではないかと、そんなふうに私は考えています。
(文責:三原)