「優れたリーダーとは」というリーダー論は、いつでも議論が絶えないものです。
観点の違いによって様々なリーダー像が語られますが、毎日の実務の中で、嵐のようにやるべき課題や問題が次から次へと起きてくるマネジャーにとって、重要な能力を極端にシンプルにして説明します。

優れたリーダーが共通している能力、すなわち リーダーの仕事を簡略化して説明すると、次の3つだと考えています。
1.なぞ解き
目の前の混沌とした問題を「単純化」する。「これは、こういうことなんだよ」といえる能力
2.説明
問題をシンプルに、熱く語る(熱さが、その人の個性)
3.行動を束ねる
人々の行動を集中させる
目標達成や競争、顧客からのリクエストや後輩の育成..。
仕事を取り巻く環境は高速化と複雑化によって、次から次に問題が起きるような感覚すらあります。しかし、その問題を「複雑」「難しい」としているうちは解決しません。
つまり、経営リーダーにとって重要な能力は「なぞ解き」の力です。目の前の混沌としているように見える状況について、状況を整理し原因と結果を見抜き、それを単純化すること。アクションや解決策を分かりやすく具体化するもの。過去の経験や学習を積み重ねて、優れたリーダーは混沌の本質を解き明かせる能力をもっているのです。目の前に起きている問題に対して極端に言うと、「これは、こういうことなんだよ」という一言で集約できるのです。
この本質を解き明かせないと、起きている事象や感情に振り回されてしまいます。表面に起きている事象への対応に追われ状況を悪化させたり、疲弊させて負のスパイラルに陥ったりもしてしまう。能力がある人はその引き出しが多くて、事象の奥にある本質を見てシンプルな課題にまとめていけるのです。

2つめに重要なのは「説明」の力です。「なぞとき」をしたことをメンバーに広く説明する力です。
相手が見えないことを見せることは出来ません。様々なタイプの従業員、関係者がいるなかで、相手が見えるように理解して、行動をできるような説明ができることが重要です。分かりやすく熱を帯びる人もいるし、常に冷静沈着にみえる人もいます。データを駆使する人も情緒的な人も居ますが、優れたリーダーは例外なく熱さをもっています。その熱さがそのリーダーの個性かも知れません。
そして3番目に重要な能力は「人々の行動を集中させる」能力です。多くのメンバーの行動が伴わなければ、課題は解決していきません。この、メンバーの行動を集中させるには、何かを捨てさせてシンプルにするということです。全方向向けの行動、過大な負荷は続きません。そして、多くの人を動かすには説明だけでは動きませんから、その人をエンロールして動いてもらう能力が欠かせません。
「なぞとき」や「説明」の能力が未開発のままに尊敬するリーダーの表面だけ真似をしても、「なぞとき」ばかりうまくなって分析者になってもリーダーは駄目なのです。
いずれにせよ、これらの能力を伸ばしていき、自分なりの基礎を築けていくと、新しく見える様々な問題に対しても 解決能力が高まっていくのです。
次回はこれらの能力の磨き方についても触れてみたいと思います。
(文責:三原)